心臓の血管に対するカテーテル治療について


講師:おおたかの森病院 循環器内科 科長・カテーテル室 室長 櫻井 将之 医師

心臓の構造と虚血性心疾患の主な原因

心臓は、右心房・左心房・右心室・左心室の4つからなっており、左心室から大動脈を通って全身に血液を送り出しています。 心臓の動脈は冠動脈と呼ばれ、右冠動脈・左前下行枝・左回旋枝の3本から更に枝分かれしていきます。 狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の主な原因としては、動脈硬化が進行して冠動脈にプラークが沈着し、血流が悪くなることが挙げられます。



動脈硬化の原因

3大危険因子 → ●高血圧 ●高脂血症 ●タバコ

  • 高血圧…塩分は1日7g以内を推奨
  • 高脂血症(コレステロール)…特にLDL(悪玉コレステロール)の数値に注意
  • タバコ…血管を収縮させ動脈硬化を促進させます

他にも・・・

  • 肥満…糖質・脂質の取りすぎに注意しましょう
  • 運動不足…週に数日は運動日を設けましょう
  • ストレス…赤血球増加で血液ドロドロに!

これらの生活習慣により動脈硬化の進展に個人差がみられます。

虚血性心疾患の症状

  • 胸の痛み(圧迫・締め付けられる感じ)
  • 顎や歯、心窩部、左肩から左手にかけての放散痛

-狭心症と心筋梗塞の症状の違い-

■狭心症…血管内はプラークにより血流が悪くなっている状態で、数分から10分以内の痛みが継続しますが、 安静にしていることで改善します。
※中でも以下のような変化がある『不安定狭心症』は心筋梗塞に移行しやすいので注意が必要です。

  1. 次第に発作の頻度・程度などが増悪してくる
  2. 安静時にも胸痛を自覚するようになる



■心筋梗塞…血管内はプラークで完全に詰まっていて、その先に血液がいかない状態。 その為20分以上痛みが継続し、安静にしても改善されません。



虚血性心疾患の診断と治療

【狭心症】

  • 労作性狭心症…動脈硬化が進み、冠動脈の一部が狭くなっていることで運動量が多くなった時に発作が起こります。
  • 安静時狭心症(冠攣縮性狭心症)…就寝中などの安静時に様々な原因で冠動脈の一部が痙攣することで発作が起こります。

■診断:血液検査・胸部XP・心電図・超音波・ABI(足首と上腕の最高血圧の比率)等を用いて、スクリーニングをかけた結果で血管の狭窄が疑わしい場合、 運動負荷心電図や心臓CT検査の後、心臓カテーテル検査に進みます。



■治療:75%以上の狭窄で治療対象となります。
局所麻酔をした上で手首(橈骨動脈)や肘(上腕動脈)から挿入し、レントゲン撮影でチェックしながら心臓までカテーテルを通して治療します。 複雑な治療の場合は太いカテーテルを使用するため足の付け根(大腿動脈)から挿入します。
※冠攣縮性狭心症の治療は予防薬の内服治療のみ

【急性心筋梗塞】
心筋梗塞は発症から時間が経てば経つほど心筋の壊死が進んでいくため、一刻も早い血流の再開が必要です。
■診断:血液検査の結果を待っている余裕はないので心電図や超音波で疑わしい場合は、緊急の心臓カテーテル検査に進みます。
■治療:閉塞部位を特定したら、狭心症の場合と同様カテーテルを通して、まずは血管内の血栓を吸引してからステントを留置します。 早期に血流を再開させれば心筋のダメージは最小限にとどめることが出来ますが、逆に壊死範囲が大きいと、その後のQOL(生活の質)が低下してしまいます。

当院で行っている特殊な治療法

通常のカテーテル治療は、狭窄または閉塞部位をバルーンで広げ、ステントを留置するというものですが病変によっては特殊な治療器具を用います。
1.ロータブレーター
高度石灰化病変に対して使用するドリル
(硬いものだけ削れ、柔らかいものは削れない)
※年間のカテーテル治療数が200例以上などの施設基準をクリアした病院でしか施術できません



2.DCA
回転しながらプラークを削り取るカッター
体内に異物を残したくない若年の患者さんやステントを留置すると閉塞しやすい枝が多い血管などに有意性が期待されています。