健康長寿のための足腰の鍛え方~正しい知識と適切な運動で筋力アップを目指しましょう!~

講師:おおたかの森病院 整形外科部長 山本 愛一郎 医師 / リハビリテーション科主任 守本 秀行

はじめに

日本では、今や4人に1人が高齢者ですが、近い将来には、2人に1人となるとも言われており、今後の日本の高齢者の動向には、 世界から注目が集まっているほどです。介護生活に陥ることなく、自立した生活を送るために、我々の身体に必要なのは「筋肉」です。 加齢による筋肉の変化を知り、筋肉を鍛える意識を持ちましょう!
今講座のキーワードは、「サルコペニア」と「フレイル」です。



サルコペニアとは

全身の筋肉の量と力が段々と減って、身体が動かしにくくなり、更に筋肉が衰えるという悪循環に陥ります。 生活の質が落ち、死の危険を伴う状態です。

筋肉が不足している人の割合
→65歳以上で1/4、85歳以上で1/2

その怖さは、例えば・・・
高齢者に多い転倒・転落による大腿骨頸部骨折は、寝たきりになるケースも多く、その5年生存率は、がんと同等の50%なのです。

サルコペニアの診断

アジアでの診断指標
・歩行速度 80cm/秒未満
 →青信号で横断歩道を渡り切れれば安心です
・握力 男性28kg未満  女性18kg未満
・骨格筋量の減少 → 特別な測定が必要
3項目のうち、2つ以上該当するとサルコペニアと診断されます。

フレイルとは

加齢に伴う臓器予備能の低下により、全身のストレス耐性が低下した状態で、要介護に陥る大きな原因です。
特徴:体重減少、筋力低下、易疲労感、歩行速度の低下、身体活動の低下

【生活習慣上の目安となる質問項目】

  • バスや電車を使って1人で外出できますか?
  • 日用品の買い物ができますか?
  • 食事の用意ができますか?
  • 請求書の支払いができますか?
  • 預貯金の出し入れが自分でできますか?
  • 新聞を読んでいますか?
  • 友達と会うことはありますか?
  • 若い人に話しかけることはありますか? など…

上記のいくつかに該当する場合、サルコペニアやフレイルの傾向があると判断されます。

サルコペニアと運動

サルコペニアによる障害の予防には筋力トレーニングが有用です。特に体幹と下肢の筋肉を鍛えましょう! 高齢でも筋力は向上します。 『どんなふうに鍛えるのがお勧め?』 マシン、ウエイト、自重を用いたトレーニングがお勧めです。筋肉の太さよりも力の強さが大切です。 効果的なトレーニングとは・・・ トレーニングを中断すると元に戻ってしまうので無理のない量から始めて、3ヶ月以上は続けましょう。 継続することが大事です!

サルコペニアと栄養

体を動かさない→お腹がすかない→食事が少ない→低栄養→低体重という悪循環になりがちです。 更に、高齢者はアミノ酸から骨格筋への合成能力が低下するため、若い人より多くのたんぱく質が必要なのです。 また、太っている人も筋肉が少なければ同じです!サルコペニア肥満かもしれません。 サルコペニア肥満とは、筋肉が少ないけれど肥っている状態で、よりフレイルに陥りやすいのです。 食事はカロリーだけでなく、糖質とたんぱく質の割合を重視しましょう。

ここまでの、まとめ。
運動や栄養に具体的に取り組むと気分が良くなります。その気分の良さが大切です!
~Activity is the best medicine.~(活動性こそが最良の薬)

サルコペニアにならないための筋力トレーニング

ここからは、理学療法士による筋力トレーニングの実践方法です。
☆姿勢によって鍛えられる筋肉は変わります。
☆どの筋肉に対してトレーニングを行っているか意識しながら行いましょう。

■大腿四頭筋トレーニング
太ももの前面の筋肉を鍛えるトレーニングです。人体で最も大きく、強い筋肉を鍛えましょう!

・骨盤を立てて行います。
 骨盤が意識しづらい場合は、
 肩甲骨を内側に寄せて行うか
 腰に手を当てる姿勢をとってみましょう。
 左右交互に20回を目安に!



他にも、背骨と骨盤・股関節を結ぶ「腸腰筋トレーニング」や、ふくらはぎを鍛える「下腿三頭筋トレーニング」も筋力強化が期待できます。

’筋力トレーニングを行う上でのアドバイス’
鏡などを利用して、セルフチェックしながら行いましょう。
無理のない範囲で行い、その日にできなくても気にせず、また翌日から始めましょう。