危ない?心配ない?胸痛の話~その胸の痛みは大丈夫?~

講師:おおたかの森病院 循環器内科 部長 濱嵜 裕司 医師

どんな胸の痛みが危ないのか

胸には骨や筋肉の他、心臓や肺など多くの臓器があり、痛みも多種多様です。 「チクチク・ピリピリする」「ここが痛い・押すと痛い」「体を動かすと痛い」「ずっと何日間も痛い」 →これらの症状は心臓病とは関連のない症状と考えられます。
しかし…
『胸の真ん中辺りが圧迫される・締め付けられる』
『喉が締め付けられる感じ』『左腕が痺れる感じ』
→これらは狭心症の疑いがある心配な種類です。



これらの症状から疑われる病気

1.労作性狭心症
運動すると症状が出て休むと治まるのが特徴です。 心臓にある3本の冠動脈内で、動脈硬化が進むことで起こる《狭窄》が原因です。
~動脈硬化を起こしやすい因子~
加齢、高血圧、糖尿病、コレステロール、喫煙など
検査:運動負荷試験、CT検査、ホルター心電図



診断はCT検査で可能ですが、最終的な治療方針を決定するためには、カテーテル検査が必要です。

カテーテル治療とは?

  • カテーテルを通してガイドワイヤーと呼ばれる細くやわらかい針金を狭くなった部分を通過させます。 そのガイドワイヤーに乗せて血管を拡げる器具を挿入して狭くなった部分の拡張を行います。

  • 器具としては現在ステントが主に用いられています。ステントとは金属で出来た網状のもので、 血管を内側から支えることで確実に血管を拡張することが出来る器具です。

  • 治療に要する時間は血管の状態によりますが、通常30分から1時間程度で終了します。 入院が必要ですが、入院期間は数日程度です。

2.冠攣縮性狭心症(安静時狭心症)
血管が痙攣することで血液の流れが悪くなり、一時的に《狭窄》しているのと同じ状態になります。 この痙攣には自律神経が影響しており、夜から朝方にかけて起きやすいという特徴があります。

検査:

  • ホルター心電図で有症状時の心電図を記録
  • ニトログリセリンを使用し、痙攣に有効であれば狭心症の可能性が高いという診断が可能
  • カテーテルで冠攣縮誘発試験を実施して確認

治療:冠攣縮の予防薬を内服し、発作に関してはニトログリセリンで対応します。喫煙は厳禁です!

3.急性心筋梗塞
血管内にあったプラークが破れて溢れ出た血栓により血管内部が完全に詰まった 状態が20~30分続くと、そこから先の心筋が壊死して心筋梗塞となってしまいます。


☆心筋梗塞になる方の約半数は症状が出ないといわれる血管の狭窄率50%以下の方です!

≪急性心筋梗塞により死亡した方の内訳≫



上表の通り発症早期が一番危険です。そして、壊死した心筋は元には戻りません。 心筋を救うには早急な治療が必要で発症から6時間以内が理想的です。 心配な症状がある時は自己判断せずに病院で受診し適切な検査・治療を受けるようにしましょう。