腰痛とその対処法

講師:おおたかの森病院 副院長 整形外科部長 山本 愛一郎 医師

腰痛は誰でもなり得る、よくある病気です。 厚生労働省国民生活基礎調査でも常に上位に上がるほど国民の関心も高く、様々な情報が溢れています。

腰痛治療のガイドライン改訂

今年、日本整形外科学会が出している腰痛治療のガイドラインが7年ぶりに改訂されました。 ガイドラインとは、国内外過去8年分の腰痛に関する論文、約8000編を解析し、 効果のあった薬や運動など腰痛治療について、まとめたものです。 それだけ近年、腰痛に対する考え方や治療法が進んできているともいえます。



腰痛全般の基礎知識

★腰痛と生活習慣の関係

  • 痩せすぎや肥満だと腰痛になりやすいため、標準体重が好ましい
  • 喫煙や飲酒は腰痛になりやすい
  • 運動習慣は腰痛になりにくい
  • ストレスは腰痛に繋がりやすい傾向があるため穏やかな生活が好ましい

腰痛の経過には心理社会的な因子が強く関連していて「この痛みが持続したらどうしよう」などの後ろ向きな気持から運動量が減り、 余計治りが悪くなってしまうということがあります。また、腰痛には、骨折やがん・感染などの重い病気が隠れていることもあります。

×時間や動きに関係なく、ずっと痛い
×身体の広い範囲にしびれがある
×体重が急に減った

などは危険信号です!しっかり検査をしましょう。

腰痛に有効な治療法は何か?

ガイドラインでは整形外科医が勧める治療の有効性を4つに分けています。

推奨度1.断然おすすめ
推奨度2.やってもいいかも
推奨度3.やらない方がいいかも
推奨度4.やらない方がいい


『推奨度1.断然おすすめ』

  • 痛み止めは飲んだ方がよい
    →痛みが抑えられて動けるのでよい、痛みが短期間で済むという統計が出ています。
  • 慢性腰痛は体操で治す
    →痛みの軽減、運動機能のアップなど生活全体の質の向上が見込めますが、有効な運動の種類については明らかではありません。 自分には、どんな体操がよいのか分からないという場合は、整形外科の外来でご相談されることをお勧めします。

『推奨度2.やってもいいかも』

  • ぎっくり腰の時は安静に寝ていた方がいい
    →安静にしているのは、2日までがよいとされており、日常生活を維持していた方が早く治るといわれています。
  • 腰を引っ張ると痛みが軽くなる
    →リハビリなどで行う《けん引療法》で椎間板にかかる圧力を軽減し、坐骨神経にかかる圧力を減じると仮定されています。 短期的な効果は認められますが長期的な改善は見込めないといわれています。
  • 電気を当てるのはよい
    《経皮的電気刺激療法》で皮下の神経を電気で刺激し、痛みの感覚を変化させると仮定されています。 十分な研究成果がなく、短期的な効果は認められますが長期的な改善は見込めないといわれています。
  • 温めるとよい
    →ぎっくり腰を含め、急性腰痛には、ある程度効果があるという研究結果があります。 逆に、クーラー等による冷えはよくないといわれています。
  • コルセットはしたほうがよい
    →した方がよいという研究結果はなく、してもしなくても同じというのが現状です。
  • 注射は効果あるか?
    →神経のブロック注射には、短・中期的効果があるとされていますが、慢性腰痛を注射でコントロールするのは難しいといわれています。
  • 手術は効果があるか?
    原因が椎間板障害であると判明している場合は、《脊椎固定術》が適応となります。慢性的な痛みの場合は、手術と非手術で比べても差がありません。 また、手術をする場合、10~20%の割合で細菌感染や神経障害などの合併症のリスクが伴います。

『不明・・・効果があるという確固たる報告がない』
マッサージ、鍼、徒手療法、ヨガなど

日頃から有酸素運動や筋トレなどの運動を心掛けるなど『予防』が大切です!