大動脈疾患で救急搬送されないために

講師

おおたかの森病院 心臓血管外科部長
市原 哲也 医師


2018年 当院の心臓血管外科で行った緊急手術は、総手術数の約半数を占め、そのほとんどが大動脈疾患でした。 そして、そのうちの6件はドクターヘリによる緊急搬送によるものでした。



緊急手術となった「大動脈瘤」と「大動脈解離」とは、どんな病気なのでしょうか?

大動脈瘤

大動脈瘤とは、大動脈の一部が瘤(こぶ)のように膨らんだ状態で、正常な太さの2倍以上膨らむと『大動脈瘤破裂』となる危険があり、 破裂した場合の死亡率は80~90%にもなります。

【胸部大動脈瘤】


特徴として、大動脈瘤があっても大多数の人は無症状で経過していきますが突然、胸痛・背部痛・腰痛・腹痛・意識消失といった症状が起こり、 それが破裂したサインとなることもあります。


主な原因は、動脈硬化の進行によるものです。 高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や喫煙・加齢・肥満が関係していると言われています。

大動脈瘤破裂で緊急手術となった方の多くは上記のような病態でありながら大動脈瘤の有無を調べていませんでした。そして、緊急手術のうちの25%は大動脈瘤があると分かっていた方々でした。 予定手術と緊急手術の差は、救命率です!原因となる危険因子がある場合、CT検査を受けるなど、早期発見を心掛けましょう。

治療は、血圧の管理やCTによる定期検査などの内科的治療や手術による外科的治療になります。

 
 (胸 部)

 
(腹 部)


胸部大動脈に対するステントグラフト治療は、カテーテルを用いて大動脈の内側からバネの力で圧着させる方法です。 開腹・開胸・人工心肺が不要で身体への負担が少ない治療です。


大動脈解離


治療は、A型であれば緊急手術、B型は保存的加療となります。 しかし、A型急性大動脈解離の24時間以内死亡率は93%と非常に高く、大動脈瘤に急性大動脈解離が併発することもあり、危険です。

例えば、このような事例がありました。
68歳 男性
高血圧、大動脈瘤にて近医にかかっていた。
今回 突然の背部痛にて精査、直径75mmの下行大動脈瘤に急性大動脈解離が併発したものと診断され、当院搬送。
緊急手術が行われ救命。


破裂してからでは、手遅れになってしまいます。大動脈瘤破裂予防は、まず 瘤の有無をハッキリさせることが大切です!
大動脈瘤の早期発見を心掛けましょう。

【心臓血管外科へのご相談】

  1. 電話 04-7141-1117
    「心臓血管外科の医師につないで欲しい」と御指示ください
  2. メール shinge@otakanomori-hp.com

ご自身ご家族の事、お気軽にご相談ください。