
大動脈コラム29「とってもいい話」
心臓血管外科 部長 市原 哲也
先日の外来で、とても嬉しいことがございました。
以前、9回の手術を受け、なおも、バイキンとの戦いで気持ちの休まらない日々を送っている、という50代の男性、
A.K.さんについてお話ししました。
詳しくは、コラム23などをご覧ください。それ以前にも何度か登場頂いております。
2年前の今頃は、最後の手術ー食道の作り直しー後の入院中で、さらにはものを食べてはいけない時期でした。
およそ半年に亘って食べてはいけない、という苦しみを乗り越えてくれ、その後半に差し掛かった時期でした。
1年近い入院で、心身ともに疲労困憊な状態で退院なさり、1年半が経った今でも、
バイキンの力がぶり返すのではないか???と、日々の体調の変化を心配しておいでです。
私とても、大丈夫!とは思いながらも、もしかして・・などと、不安が始終つきまとう日々であることは否めません。
そんな中、先日の外来で、ご本人から、
「もうすぐ定年ですが、もう少し働きたいと、会社に話したところ、ぜひ残って欲しい、と言われました。」
という、嬉しい話を聞かせてくださいました。
自分の体のことがさぞ心配でありましょうに、
「生きている間に少しでも恩返しがしたい」とおっしゃるのです。
あまりに清々しく、感激で胸が震えました。またしても、生きる勇気、希望を頂きました。
ありがとう、A.K.さん!この場を借りて御礼を申し上げます。
家族や知人の大動脈瘤や、急性解離、瘤破裂のことが心配だという方、遠慮なくご連絡ください。
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心臓血管外科 部長 市原 哲也