講師:おおたかの森病院 循環器内科 医長 櫻井 将之 医師
動脈硬化の三大危険因子は、高血圧・高脂血症・たばこだと言われています。 他にも『乱れた食生活・低栄養・運動不足・飲酒・ストレス・慢性疲労・肥満・糖尿病・高尿酸血症(痛風) ・家族歴・男性・更年期・重労働』などの危険因子が2つ以上当てはまると動脈硬化になるリスクが高くなります。
動脈硬化により足や腕の動脈が狭くなったり、完全に詰まってしまうことで、 血液が末梢動脈に流れなくなり、様々な症状を引き起こす血管疾患です。
主な症状に「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」があります。これは歩くと足、特にふくらはぎがだるくなったり重くなったり痛くなったりしますが、 休息すると10分以内に軽減するというものです。
このような跛行症状は、閉塞性動脈硬化症患者の3人に1人に見られるというデータがあります。
こういった初期症状を放っておくと「重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ)」という末期症状となり、 腫瘍や壊疽を引き起こします。予後が悪く、切断範囲が大きくなるほど死亡率が高くなります。
◆下肢切断後の死亡率
1週間以内12%
30日以内29%
1年以内59%
◆部位別1年後死亡率
膝上切断60.8%
膝下切断38.9%。
また、閉塞性動脈硬化症が腕や足だけでなく『全身の動脈硬化病変の一部分症』だということが、下記のグラフからも分かります。 閉塞性動脈硬化症患者が冠動脈疾患や脳動脈疾患を合併したり、両方を合併している場合もあります。
1. 触診…足の血管の拍動を触って確認します。
2. ABI検査…両手両足の血圧を同時に計測し、その比の値が0.9を下回ると足の血管が狭くなっている疑いがあります。
(外来で検査可能)
1、2の結果によっては、CTやMRAなどで、より詳しく検査をします。狭窄が疑われる場合は、カテーテル検査、治療を行います。
1. 薬物療法+運動療法
抗凝固剤や抗血小板剤を服用することで血管の狭窄の進行を抑制し、併せて運動することで血行をよくしていきます。
2. バイパス手術(外科手術)
人工血管を用いて狭窄部分を迂回した新たな血流路を作ります。
3. カテーテル治療
ガイドワイヤーを使用し、バルーンやステントを用いて血管内治療を行います。
足のしびれや痛みの為、運動量が減ると動脈硬化の進行が早まることから、積極的に治療する傾向があります。
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当院では、最新鋭の血管撮影システムを2台導入したことでカテーテル治療の手技時間が短縮し、成功率もアップしています。